2020/06/13
前立腺は膀胱の出口付近の尿道を取り巻くようにある、クルミ大の臓器です。
精液の一部である前立腺液を作る働きをしています。
この前立腺にできるガンが年々増加しており、2020年には、肺ガンに次いで男性の罹患率2位になると予測されています。理由は高齢化に加えて、前立腺ガンの検査であるPSA(前立腺特異抗原)検査が普及したことが大きいでしょう。
PSAは、前立腺液の中に含まれるたんぱく質で一部が血液中に流れ出ています。
前立腺ガンになるとPSAが血液中に大量に流れ出るため、血液検査でそれをチェックしようというわけです。
前立腺ガンはよほど進行するまで症状が出ないため、一昔前までは、骨やリンパ液に転移し治療が難しい状態で見つかることが多かったのですが、PSA検査の登場によりこうしたケースが減り、様々な治療の選択肢がある早期のガンが増えました。
検査は血液を数ミリリットル(ml)採るだけで簡便なため、最近では治自体の検診や人間ドックに取り入れるところも増えています。
ではどんな人が受けるべきなのでしょうか。
PSA検査は、乳ガンのマンモグラフィーや大腸ガンの便潜血検査のように、検診としてみんなが受ければその集団全体の死亡率が下がるという証拠はまだありません。
そのため、罹患する可能性が高くなる50歳以上の男性が個々に、検査の特性を知ったうえで受けるかどうか決めることが推奨されます。
PSA検査は早期発見には有効だがまず知っておきたいのが、PSA検査だけで、ガンの有無がわかるわけではないとゆうことです。
PSAの値は4(ナノグラム/ml=ナノは10億分の1)以下が正常、
10以上ならガンの確率が高く50%以上、
そして4~10のグレーゾーンの場合は30%程度と言われています。
前立腺肥大症や炎症など、ほかの病気でもPSA値は上がることはあるため、値が高いだけで焦ることはありません。
診断にはその後、前立腺を針で刺して組織を取る生体検査(生検)が必要になります。
生検には出血などの合併症が起こるリスクもある。
PSA値が4~10の場合では、数カ月おきに値の動きを見て上がり続けるようなら生検に踏み切るという手段もよいでしょう。
様子を見ている間にガンが進行するのではないか、と危惧するかもしれません。
しかし、前立腺ガンは「天寿ガン」と呼ばれるように、ほかのガンに比べて進行が遅く、直接の死因になることは少ないのです。
中にはたちの悪いガンもあるので油断はできないのですが、早期の段階でみつかると、多くは10~20年かけて死因になるようなガンに進行すると考えられています。
こうした前立腺ガンの性格から、基本的には70歳程度ではほかに病気を併せ持っているような人には検査を推奨します。
ただ、もっと若い人たちには、血圧測定と同じようなイメージで、健康管理の一環として、PSAの値を把握しておいてもいいのではないでしょうか。