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風邪に抗菌薬は不要?

time 2017/04/19

風邪に抗菌薬は不要?

風邪は、日常診療の現場では最もありふれた病気です。
しかし、一口に風邪といっても、その症状は様々です。
鼻水や鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、咳、痰などに加えて、発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振などの全身症状を伴うこともあります。

実は風邪とは、1つの病気を指す正式な病名ではありません。
原因となる病原微生物の種類に関係なく、上記のような症状を起こすものを一括して風邪と呼んでいるのです。
つまり、鼻やのどなどの上気道の症状から、気管、気管支などの下気道の症状に至るまで、気管に起こる急性感染症を総称して風邪と呼んでいるわけです。

風邪の原因の8〜9割はウイルスによるものでライノウイルスやコロナウイルスなど非常にたくさんの種類があります。
こうした原因ウイルスと風邪の症状の間には、ある程度の傾向や季節性は存在しますが、一対一の相関はありません。このため、風邪は症状を基に診断・分類されるのが一般的です。
例えば、米国内科学会が2001年に発表したガイドラインでは、健康な成人に生じた急性の気道感染症は、非特異的上気道炎、急性鼻・副鼻腔炎、急性咽頭炎、急性気管支炎の、四つのタイプに大別されています。

典型的な風邪の症状である、鼻水やのどの痛み、咳など鼻・のど・気管支の三ヶ所の症状が特に優位ということもなく複数見られる場合は、非特異的上気道炎と判断されます。
発熱や倦怠感などの全身症状が軽い、いわゆる普通感冒もこの中に含まれます。

 

 

ウイルス感染に抗菌薬は無効

非特異的上気道炎に認められる多彩な症状はウイルス感染の特徴であり、細菌感染の治療薬である(抗生物質)は効きません。
このため対処療法として、鼻水や鼻づまりには抗ヒスタミン薬、咳には鎮咳薬という具合に、それぞれの症状を軽くするための薬が処方されます。

非特異的上気道炎はほとんどの場合、3〜7日以内に自然に軽快に向かうため、栄養や睡眠を十分に取り、体力を消耗しないように気をつけることが大切です。

発症7日以内の非特異的上気道炎に対する抗菌薬投与の有効性は、数多くの研究で否定されています。しかし実際には、細菌感染症の続発を防ぐための予防目的などで、抗細菌薬が処方されているケースは少なくないのです。

明らかにウイルス感染と考えられる風邪にも抗菌薬が使われることは、効果が期待できないばかりか、耐性菌の出現や増加を招く原因にもなります。抗菌薬の過剰使用で耐性菌が増加すれば、本当に抗菌薬が必要な細菌の感染症に抗菌薬が効かなくなるなどの問題も出てくるのです。

風邪に対する抗菌薬の使用は、A郡β溶血性連鎖球菌(溶連菌)による急性咽頭炎など、細菌感染と診断されたり、その疑いがある場合に限る「適正使用」が大切なのです。