2020/06/13
朝のジョギングで足の筋肉を痛め、整形外科で治療を受けたGさん(48歳)。
治療中に医者から筋肉トレーニングを指導され、筋力維持の重要性を知りました。
筋肉は、日常の行動や生命維持に欠かせない器官でありながら、意外に人々の関心が薄いようです。Gさんのように、何かアクシデントが起きて初めて、その重要性を知る人も多いのではないでしょうか。
筋肉は構造や働きの違いによって、骨格筋、平滑筋、心筋の3種類に分かれています。
一般に筋肉と言う場合は、骨格筋を指します。
骨格筋には横紋(横縞模様)が見られることから、横紋筋とも呼ばれます。
自分の意思で自由に動かせる随意筋で、手足の筋肉、腹筋、背筋などがそれに当たり、運動に欠かせない筋肉です。
平滑筋は、消化器などの内臓を動かす働きがあるため、内臓筋とも呼ばれています。
血管の壁も、平滑筋でできています。
自分の意思で動かしたり止めたりできない不随意筋です。
心筋も同様に不随意筋で、心臓だけにある筋肉です。
人や動物が歩いたり、食べたりすることは、生命の源です。
体の機能は動くことによって健全に保たれているのです。
しかし私たち現代人は、原始時代や動物たちのように、野山を駆け巡って食べ物を探す必要がなくなりました。これが様々な体の不調に影響を及ぼしていると考えられます。
近年増加しているメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、その最たる現象ではないでしょうか。
筋肉は大脳からの指令によって収縮したり、弛緩したりして動作を実現します。
中高年になってこのバランス能力が低下したり、大脳の伝達指令が遅くなったりすると、筋肉の動きが弱まり、転倒などにつながるのです。
しかし、筋肉自体は、年利に関係なく、適切なトレーニングをすることによって維持できるです。
筋肉をバランスよく鍛える
一般に筋肉と呼ぶ骨格筋は、毛細血管が豊富なために赤筋(収縮が遅いことから遅筋とのいう)と血管が少ない白筋(速筋)があります。
赤筋は、ウオーキングやジョキング、サイクリング、水泳などの有酸素運動に使われる筋肉で、白筋は、重量挙げやラクビー、相撲など力を込めて行う無酸素運動の際に使われる筋肉です。
健康維持や増進を目的に運動をする場合は、有酸素運動を勧められることが多いと思います。有酸素運動によって赤筋を鍛えることで、心肺機能が高まるためでしょう。
しかし、それだけではなく、白筋を同時に鍛えることが望ましいのです。
白筋が増えることで、体脂肪や糖の代謝が促され、肥満の防止や改善にもつながります。
有酸素運動だけでは、いくら一日一万歩歩いたとしても、筋肉自体が増加するわけではありません。
赤筋と白筋をバランスよく鍛えるには、筋肉に少し軽い負荷を与えて、ゆっくりとした動作で行うスロートレーニングがお勧めです。
この方法では、まず赤筋を動かし、徐々に白筋を刺激して増やすことが出来ます。
例えば、スクワット運動で足を屈伸させるときには、ゆっくりとした動作で呼吸を止めずに、膝を最後まで曲げきらない、伸ばしきらないようにして行うといいでしょう。
無酸素運動と同じ効果が得られます。
一方、熱の生産機である筋肉の量が減少すると、熱の発生が少なくなり、体が冷えやすくなります。冷えは「万病のもと」と言われる通り、様々な体の不調を引き起こす要因になると考えられています。
体の冷えを防ぐためにも、筋肉(特に白筋)の維持・増加を心がけ、代謝を促すことは大切です。
自分の健康は自分で守る時代です。
欧米では健康と筋肉に対する意識が高いですが、日本ではその相関性への認識もまだ低いのが現状です。
筋肉が健康に重要な役割を果たしていることに、もっと目を向ける必要があるでしょう。