2020/06/13
喫煙が健康を害すると言われて続けています。
以前は、禁煙の成功は個人の意志の強弱で決まり、禁煙できない人は、意志の弱い人とみなされる傾向がありましたが、その硬い意志とは裏腹に、ニコチン依存症のために喫煙をやめたいのにやめられない状況があることが分かってきました。
たばこの依存症には2種類があります。
目覚めの一本が吸いたくなったり、イライラするなど体内のニコチンが欠乏してくると起こる症状を身体的依存(ニコチン依存)といい、仕事が終わってほっとした時や、手持ち無沙汰な時に吸いたくなる精神的依存(習慣)です。
この二つの依存を取り除くことができれば、禁煙は成功できます。
最近では、以下の1~4の全てを満たすことで、禁煙治療に健康保険の適用が認められるようになりました。
医師の診療の下、ニコチン成分入りのパッチ剤などが、三割の自己負担で購入できます。
1.直ちに禁煙しようと考えていること。
2.ニコチン依存症のスクリーングテストが5点以上であること。
3.ブリンクマン指数(一日の喫煙指数×喫煙している年数)が200以上であること。
4.禁煙治療を受けることを文書により同意していること。
成功の別れ道は3~7日目
診療機関は3カ月で計5回です。
初診時は問診や治療法の説明、ニコチン依存度や禁煙への関心度がチェックされ、吐き出す息の中に含まれる一酸化炭素濃度の測定、禁煙開始日の決定と「禁煙契約書」へのサインを行います。
そして、次回診察日を決めた後に、禁煙補助薬が処方されます。
時間にした30~40分程度でしょう。
以降は2週、4週、8週、12週後に、15分程度の診療を受けることになります。
治療にかかる全費用は、3割負担の診察料に薬の処方費(個人差による)を合わせて、1万3000円強が平均的な金額です。
禁煙を始めて体内からニコチン成分が出てしまう3~7日目が、いわゆる離脱症状が起こる最も辛い時期とされています。
この時期に禁煙者が多くいる飲み会などに参加するには、できれば避けることを勧めます。
アルコール分が入り気が大きくなり、つい「1本ぐらいはいいだろう」と誘惑に負けてしまうことが多いからです。
禁煙を成功させるには、禁煙と結びついている行動パターンを変えたり、たばこの代わりにガムを噛むなど代替品を利用したり、禁煙宣言をして周りの協力を得るのも手でしょう。
正しい禁煙のゴールとしては、たばこを吸いたいことを、我慢するのではなく、吸う事の対して無関心になれるのが望ましいのです。
また、仮に禁煙外来を受診して禁煙に成功しなかった場合、初診日から数えて、1年以上が経過しないと、次の受診では保険適用ならないので注意が必要です。