2020/06/13
日本緑内障学会疫学調査によると、40歳以上の20人に1人が緑内障であるといいます。緑内障は視神経が侵されて視野が欠けていく病気です。 いったん侵された視神経は元には戻らないため、放置すると失明する危険性があり、昔は不治の病とさえいわれました。現在は早期発見して治療を開始すれば、進行を遅らせ失明を防ぐことができるようになっています。 緑内障患者の7割は正常眼圧緑内障(NTG)です。NGTはその名前の通り眼圧が正常範囲(10から21mmHg)であるにもかかわらず、視野の欠損や視神経の障害が起きます。
初期の段階では、片方の目の視野が欠けていても、もう片方の目で視野が補われることや、後期まで視力が低下しないために自覚症状がないことが多く、約9割の人が未受診であると推測されています。
なぜNTGなるか原因はいまだ不明の部分もありますが、眼圧に対する視神経の抵抗力の強さには個人差があり、弱いと眼圧が正常値であっても視神経が侵されてしまうことがあります。また家族の中に緑内障を患う人がいたり、近視や片頭痛がある人は、NTGになりやすいと言われています。
40歳を過ぎたら、自宅や職場の近くにかかりつけの眼科を決めて、一年に一度は受診を受けることが望ましいでしょう。
検査の内容としては、眼圧検査、眼底検査、視野検査の3つを行います。
自宅で簡易視野チェック
自宅でも簡単にNGTかどうかのセルフチェックができる方法があります。テレビ画面を番組が放送されていない空きチャンネルにして、砂嵐画面(ノイズフィールド)に設定します。 テレビ画面の中央に直径2~3cmの丸い紙を張り、画面の縦の長さと同じ距離に離れます。 そこから片目ずつ丸い紙に視点をあわせて画面をみます。 画面の中に砂嵐が黒っぽく見える部分や動かない部分、または全く見えない部分がある場合は視野欠損が疑われるので、速やかに眼科を受診した方がよいでしょう。
治療方法としては、点眼薬を中心とした薬物治療で眼圧をさげ、視神経が侵されるのを遅らせるのが基本です。眼圧を下げる目標値は、視神経の障害の程度視野の欠けている範囲などによって異なり、作用の違う薬をいくつか組み合わせて使います。
以前のような患者全員に同じ薬を定量投与する治療ではなく、個々の患者さんの一日の眼圧の変化を測定し、それに基づくデータから、最も有効な点眼薬の組み合わせや点眼時刻を決定するテーラーメード治療が推奨されます。薬物療法で病気の進行が治まらない場合はその症状に合わせてレーザー治療や手術を行うこともあります。
自覚症状の出にくい病気だけに日頃から視野に注意を払い、早期発見を心がけ、根気よく治療を続けることが大切です。