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手術前には口腔ケアを

time 2017/04/18

手術前には口腔ケアを

近年、口の中の細菌が、糖尿病や心疾患など様々な全身の病気に関係することが知られてきました。
これは、歯周病菌などの口腔細菌や、それらの細菌が作り出す毒素が体内に入って炎症を起こすのが主な原因です。
健康維持のための口腔ケアの重要性が注目を集めていますが、実は食道や頭頸部の手術を受ける人、骨髄移植を受ける人、ガンで化学療法を受ける人などは、口腔内の細菌の影響を受けやすいからです。

米国ガンセンターの調査によると、化学療法を受けた患者の40%、骨髄移植した患者の80%、そして口腔領域に放射線治療を行った患者の100%が、口腔粘膜の炎症などの合併症を起こすことが分かりました。
合併症は、放射線治療により唾液腺が損傷を受けて唾液が分泌されず、口の中が浄化できなくなったり、抗がん剤により免疫力が低下して引き起こされます。
口腔粘膜の潰傷や、開口障害、味覚障害、歯周病の悪化などが主な症状です。

こうした症状自体は致命的なものではありません。しかし、手術が成功しても、感染症が重篤化して口の中に激しい痛みを感じるなど、QOL(生活の質)の低下を招いたり、入院期間が長期化するという問題がおこります。
特に化学療法を受ける人の場合、口腔合併症を発症した人の半数で口内炎がひどく、治療のスケジュールや薬剤の投与量に変更が必要になったという報告があるほどです。

一方、食道や頭頸部の手術では、術後の飲み込みの機能が低下しやすく、誤嚥により唾液中の細菌が気管から肺に入り、肺炎を起こすリスクがたかまります。

 

 

術後の合併症は4分の1に

こうした肺炎や口腔感染症の予防、症状の緩和に有効なのが手術や治療前の口腔ケアです。
内容は難しいものではなく、PTC(Professional Tooth Cleaning)と言われる歯科衛生士などによる口の中のクリーニングか基本です。

TPCにより歯石や日頃の歯磨きでは取りきれない歯垢を除去することで、感染のもとになる細菌を減らせます。
それに加え、スポンジなどで口腔粘膜に付着した細菌を除去するのも効果的です。
また、必要に応じて歯周病や虫歯の治療も行いたいものです。
こうした術前の口腔ケアにより、当該院では頭頸部進行ガン患者の術後の合併症は4分の1に減少したそうです。

また、口腔ケアを行わないと、口内炎などの影響で術後の食事を口から摂取できる時期が遅れるケースが少なくないですが、術前の口腔ケアにより再開時期を1週間も早めることができ、肺炎のリスクも低下しているということです。

手術が必要な病気やガンと診断されても、すぐに治療を始めなければ手遅れになるケースはすくないものです。PTCならかかる時間は1時間ほど。
手術を受ける場合には、入院準備に口腔ケアを取り入れてほしいものです。

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